理学部化学科への大学編入ブログ

理学部化学科への大学編入するための勉強法や参考書を紹介します。

令和2年度 (2020年度) 筑波大学 理工学群 化学類 編入学試験 体験記

 

目次

 

 

 

はじめに

こちらの記事は令和2年度(2020年度) 筑波大学 理工学群 化学類の編入試験を受験した某高専生による体験記です。

筆者についての詳細は以下の記事を参考にしてみてください。

 

o6x24.hatenablog.com

 

分からないことや聞きたいことがありましたらコメントなどで一言ください。

 

 

スペック 

高専物質工学科5年生です(令和元年度現在)。

  • 学科の席次:5∼9位
  • 提出したTOEICスコア:770(L:400, R:370)

 

 

志望理由

大きく2つあります。

1つめは有機化学の分野の研究室で含フッ素有機化合物をテーマとした研究室があったからです。含フッ素有機化合物は医薬品等に用いられる有用性の高い物質ですが、フッ素の導入により分子のサイズを変えることなく化合物の化学的性質を大きく変えることが出来るという魅力が詰まっていますが、これ以上専門的な話をすると気持ち悪いと罵られかねないのでやめます。

2つめは旧帝大東工大に次ぐ大学のレベルの高さと国からの研究費の多さです。自分の質を上げることが出来ると同時に、充実した研究をすることができると思いました。

志望理由は以上です。

 

 

試験日程

  • 受験日:7月13日(土)、14日(日)
  • 合格発表:7月24日(水)

 

 

受験科目

  • 専門科目(化学)
  • 英語(TOEICスコアの提出)
  • 面接試験

専門科目は無機化学、物理化学、有機化学から出題されます。

英語は筆記試験は行わず、事前に受験したTOEICスコア(IPは不可)の原本を提出します。

 

 

筆記試験

大問1 

無機化学(難易度:★★★☆☆)

問1から問2までの全7問です。

問1は主にオービタル(結合)に関して、イオン化エネルギーや結合次数の傾向の変化やそれが示す性質に関する問題でした。

問2はイオンに関して、八面体間隙、四面体間隙やイオン半径、格子エンタルピー、結晶場安定化エネルギーに関する問題でした。

記述問題が多かったので、無機の分野を暗記ではなく理解していれば難なく解けるレベルでした。

予想は8割。

 

大問2

・物理化学(難易度:★★★☆☆)

問1と問2までの全8問です。

問1は基質と酵素基質複合体のミカエリスメンテンの反応速度論に関する問題でした。

問2は理想気体と実在気体、エネルギー等分配則に関する問題でした

基礎さえしっかりしていること、多少の知識さえあれば解けるレベルでした。

予想は9~10割。

 

大問3

有機化学(難易度:★★★☆☆)

問1から問3までの全16問でした。

問1は2種以上の化合物の沸点や酸性度、塩基性度の違いに関する問題でした。

問2は塩化tert-ブチルの水中及び水酸化ナトリウム水溶液での生成物予想、反応機構に関する問題でした。

問3はトルエンを出発原料としたさまざまな反応による生成物に関する問題でした。

例年とは異なり、大学院レベルの反応が出題されることはなく、難なく解けるレベルでした。

予想は9~10割。

 

未だに少し衝撃的なのですが、例年の過去問と比較すると難易度が明らかに下がっていました。この年に限ったケースかもしれないのでそこは注意してください。

 

 

面接

面接で聞かれた事項は以下の通りです。

  1. 志望理由
  2. 筆記試験の出来具合
  3. 化学は分析系とものづくり系に分かれるがどちらを専攻したいか
  4. ものづくりは医薬品等の社会に役立つことをしたいか
  5. 卒業研究に関して
  6. 受験した他大学
  7. 無機化学の中でも興味のある分野
  8. 質問7で答えたことは学校で学習したことか
  9. 無機系の分野で触媒等、最近気になったニュースや報告は何かあるか
  10. 英語についてどう考えているか
  11. 筑波に来てどう感じたか
  12. 英会話の成績だけ低いが、どんな講義なのか、またどう思っているか
  13. 英会話、スピーキング力はどう改善するか
  14. 勉強以外で頑張っていること
  15. 有機化学はどんな事を学校で学習しているか
  16. 学校での講義では自分だけで目的の化合物のプロセスを考えたりするか
  17. 自分自身で目的物への生成プロセスを考えたことはあるか
  18. なぜわざわざ筑波大を選んだのか

筆記試験の翌日に面接試験があります。

面接では無機系、物理化学系、有機系、司会の計4名の教授の方々がいました。

他の学類の事前情報で筑波大の面接は重々しい雰囲気だということを目にしていたのですが、筆者の場合は面接が進むにつれて互いに良い雰囲気で話を進めることが出来ました。

 

 

 

結果

合格

  • 受験者数:6人
  • 合格者数:1人

この年は受験者数が少ないですが例年ですと毎年15人程度います。

しかし、合格者数は例年1人(2人の時は1回あった。)ですので狭き門です。

 

 

最後に

この年は例外かもしれませんが、問題のレベルが全国の理学部化学科の中でも1、2番目に難易度が高いこと、"クセ"の強い問題が多いこと、そしてこれはどこの大学に関わらず理学部化学科の受験勉強全てに共通して言えることですが化学は"暗記"ではなく"理解"であること、以上を踏まえると各科目"全範囲"の勉強を徹底的に早い段階から対策する必要があります。

受験科目が化学だけ、という甘い考えで受験を考えると間違いなく終わります。無機化学、物理化学、有機化学の全範囲が試験範囲だと思ってください。群論や大学院レベルの有機反応も普通に出題されます。

TOEICスコアは噂によると730点(学類によっては860点)で100点満点換算らしいのですが、筑波大の受験生のスコアは600後半~800後半が相場です。

過去問はHPに掲載されています。

 

他に何かありましたら、随時追記という形にて更新します。